〈トランジションとは?〉

「トランジション」とは心理的に、その人の心の在り様が「完全に変化する」ことを指しています。
外的な環境やできごとだけではなく、その人の内面が変化すること、その人自身の内側にある「ものの見方」全体を再定義することなのです。
それは、自らが無意識にも持っているものごとへの前提を見直すことであり、優先順位を変えることであり、これまでのやり方を手放すことでもあります。
異動やライフイベントによる環境の変化に伴い、日常的に「当たり前」が通用しなくなったとき、多くの人は「トランジション」のプロセスを歩みだすことになります。そして「トランジション」のプロセスでは、たくさんのあなたの「当たり前」を否定されるのです。あなたの中には、大きな混乱が生じます。「一体、何が正しくて、何が正しくないのか、よく分からない」そんな状態に陥るのです。
〈コーチングとは?〉

「コーチ」は、相手の目標達成を、より早く、確実なものとするために存在します。1対1で定期的な対話の場(セッションと呼びます)を設けながら、短くても数ヶ月間、長い方ですと数年間にわたって、長期的に相手の成功をサポートしていく仕事です。
一般には、「コーチ」といえば、スポーツコーチのイメージが強くありますが、20年ほど前から、ビジネスリーダーにも「コーチ」がつくようになり、ここ数年で日本のビジネス界でも大きく広がってきています。

コーチは、問いかけることで、相手が自分自身で答えを見つけていく力を育てます。
このように、質問をされると、人は考えずにはいられなくなります。
他の誰かに聞いてもらうことで、自分の内側にある思いやアイデアが言葉になり、形になっていくのです。
実は、多くの場合、そもそも「手に入れたいゴール」が明確ではありません。
何を手に入れたいのか、分からないまま走っていることが多いのです。
まずは「ゴールを明確にする」ところからスタートしてみましょう。
▼コーチの問いかけの例
・ゴールは?いつまでにどういう状態を目指したいのか?
・そのゴールを達成するためには、誰のどんな行動が必要なのか?
・そのゴールを達成するために、あなたの役割は何か?
・それを達成すると、どんな良いことがあるのか?
・何を手放す必要があるか?
・他には?
~海外駐在編~
〈トランジション・プロセス〉
【準備期】
多くの人が、様々な手続きでだた「バタバタする」だけで終わってしまう。
ほんの少しでも、「自分との対話」の時間を取りたい。
(赴任辞令後~着任するまでの期間)
【ユーフォリア期】
新しい環境になり、多くのことが新鮮で面白く、ポジティブに感じられる。
一種の興奮状態にあるが、長くは続かない。
(赴任後すぐ~2ヶ月ほど)
【カルチャーショック期/回復期】
慣れとともに新鮮さは薄れ、しだいに思い通りにいかない事柄に意識が向くようになる。ハネムーン期に蓄積されたストレスもあり、ネガティブな感情を抱きやすい。期間の長さは人により異なる。
(赴任後1ヶ月~6ヶ月ほど)
自分の中で多くのことに折り合いがつき、環境にあった新しいスタイルを身に着け始め、自信がついてくる。この段階でも否定的な感情を抱き続けている人もいる。一方で、出身地の文化以上に溶け込んでしまうケースもある。
【適応期】
(赴任後6ヶ月ほど~)
【逆カルチャーショック期】
もとの文化に戻る際にも、同じようにトランジションプロセスを体験する。「戻る」ということから難易度は低いと思われやすいが、実際には、新しい環境に適応することよりも難しさを感じる人も多い。
(帰任後すぐ~12ヶ月ほど)